6月3日・4日(土・日)に大学教育学会の第45回大会が大阪大学で開催されました。台風による交通の乱れの影響で、会場に時間通りに到着できない人がかなりいました。大会自体は無事に開催され、私は、学会課題研究のラウンドテーブルを開催し、また自由研究発表を行いました。
企画したラウンドテーブル「大学教育・経営人材と育成プログラム」は、土曜午前の開催で、台風の影響もあり、参加者は多くありませんでしたが、登壇者の論点提起と参加者の積極的なコミットメントのおかげで、楽しい議論を交わすことができました。話題提供いただいた木村弘志さん、水野(林)貴子さん、松村彩子さん、中世古貴彦さん、お疲れさまでした。ありがとうございました。
翌日曜の自由研究発表では、「学士課程教育(3)」の部会で「包摂性と社会的公正を目指す学士課程教育―カリフォルニア大学バークレー校のアメリカ文化プログラムー」と題する発表を行いました。近年の大学教育学会では必ずしも研究の多くない、大学教育の内容論に踏み込んだ発表だったため、反響が少ないかもという不安がありましたが、幸い聴衆も多く、発表後に多くのコメント・質問を受けました。
自由研究発表では、同じ部会で他に3つの研究発表が行われました。学士課程教育、教養教育、学生支援を考える上でいずれも興味深く、有意義な内容でした。また、その前の時間に司会をお引き受けした「学士課程教育(2)」の部会では、学生調査を元にした5つの発表が行われ、いずれも興味深く聴き入りました。特に、入学後初期段階の学生の状態を把握することで、その後の学生のつまづきを予測し、成功の可能性を高めようとする問題意識が高まっていることを強く感じました。
午前・午後ともに、短い部会の時間では議論し尽くせない内容があり、議論を継続する機会を持ちたい衝動に駆られました。
以下、今回私が聴いた研究発表を挙げておきます。(〇は発表者)
部会6 学士課程教育(2)
「学生の特徴と教養教育・専門教育における学びの関連」◯岡田有司(東京都立大学)、山田剛史(関西大学)、半澤礼之(北海道教育大学釧路校)、家島明彦(大阪大学)
「心理的安全性と教養教育・専門教育における学びの関連」◯山田剛史(関西大学)、半澤礼之(北海道教育大学)、家島明彦(大阪大学)、岡田有司(東京都立大学)
「大学 3 年生の学習成果(学業成績・汎用的技能)に関連する入学時の要因の検討」◯澤田忠幸(石川県立大学)、垣花渉(石川県立看護大学)
「大学入学時のセルフマネジメントの行動意図による学業成果の予測」◯西口利文(大阪産業大学)
「社会科学系学部に所属する学生の学習意識・行動-ボーダーフリー大学生に着目して-」◯宇田響(くらしき作陽大学)
部会15 学士課程教育(3)
「大学における一般教育・教養教育の理念等整理の試み-「 IDE― 現代の高等教育」の内容分析を通して-」〇上畠洋佑(新潟大学)
「AAC&U の LEAP イニシアチブにおける Capstone Experience と Undergraduate Research の目的と方法-日本の卒業研究との比較の観点からの考察-」〇中島夏子(東北工業大学)
「日本の大学における Tinto による学業継続モデルの適用可能性に関する検討」〇小湊卓夫(九州大学)、田中秀典(宮崎大学 、非会員 )、藤原宏司(山形大学 、非会員)
広島大学の後輩で今回大会運営スタッフの一員だった陳麗蘭先生(大阪大学特任助教)が私の発表の写真を撮って下さいました。ありがとうございました!