2023/12/28

第4回次世代育成教育フォーラムで総括コメントをしました

 12月9日(土)、東京大学生産技術研究所の次世代育成オフィス(ONG)主催の第4回次世代育成教育フォーラム「未来社会をデザインできる人材の育成~初等中等教育における探究活動の成果とこれから~」が開催されました。

第4回次世代育成教育フォーラム「未来社会をデザインできる人材の育成~初等中等教育における探究活動の成果とこれから~」


私は数年前からONGの先生方と交流させていただいており、ONGが主催するイベントに対面で出席するのは3度目でした。

当日は、学校現場をはじめ、初等中等教育で取り組まれている探究型・協働型、あるいは教科横断型の学習について、さまざまな報告が行われました。登壇者も、教育委員会、アカデミア、官庁、民間企業など多彩であり、さまざまな観点に立った報告と議論が交わされました。

私は会の最後に、総括のコメントを依頼されました。全体を通して、たいへん充実した、幅広い議論だったため、会の「総括」をすることはとても叶いませんでしたが、主に3つの観点からコメントしました。

①主体的・対話的な学びは、これまで「客観的」な知識、すなわち教科書に書かれてある、いわば安定的な知識を軸に行われてきた教育現場に、自己や他者の主観的・経験的知識を持ち込むという意味で、教育の大きな転換であるといえる。

②探究型・協働型学習の取組が様々な場所で展開されるようになっているが、そこから取り残されている人たちがいないかを検証する必要がある。様々な生き辛さを抱えている人たちの存在をも包摂できるような取組が進むことが重要ではないか。多様な状況にある人々の立場を尊重すること自体に意味があるし、同時に、そういった立場の人々は多くの人々の世界観を転換させてくれる存在でもある。

③学習者が中心に置かれた学びの場を構築することが重要であり、学習者とは主に子どもたちを指す。しかし、教師や学びの過程に関わる様々な人々も同じく学習者である。教師たちが新しい教育的取組に楽しんでチャレンジできるような教育風土の形成が重要である。探究型・協働型学習は、上から教師が教え込むのではない、いわば民主的な学びの場の形成につながる。同時に、新しい教育方法を実践する際には、教師の側に不安や悩みが付きものである。主体的に試行錯誤を楽しめるような風土の中で、新たな教育実践が進んでいくことを期待したい。

今後とも東大内外の関係の皆様と連携・協力しながら、高等教育との接続を含めて、有意義な教育の場の形成に力を注ぎたいと思います。



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