2020/06/02

授業紹介(その1)ー比較大学論

 「比較大学論」は、私の担当する科目の中で基本となる科目です。私は比較と歴史の2つのアプローチを重視していますので、比較・歴史の思考法について学び、そのあと、主にアメリカの大学を題材としながら、大学と高等教育を巡る概念、歴史的変遷の中で生じた様々な議論、現代の大学問題に通じる論点などを学んでいきます。詳しい内容については下のシラバスをご覧下さい。

 この授業のひとつの特徴は、反転授業の方式を取り入れていることです。2015年から始めました。二つ理由があります。大きな理由は、当コースの学生はキャンパスに来る日数が限られているため、できるだけ授業中に学生間の討論と、学生による発表・質疑応答の時間を確保したいと考えたからです。そのため、自宅や通勤時間に講義を聴いてもらい、また予復習が効果的にできるよう、YoutubeとGoogle Classroom、Dropboxを使った講義と資料の事前・事後配信を行ってきました。

 もうひとつの理由は単純に授業時間が足りないことです。これは私の話が長いこと(としゃべりが遅いこと?)が主な原因なのですが、授業の中で、講義、討論、発表と質疑応答を行っていると、既定の授業時間がすぐに過ぎてしまいます。授業延長を避けるため(と言いつつ、反転授業導入後も授業が延びることがしばしばありますが)、授業時間の外に出せるものは外に出そうという発想に至りました。2020年の現在はともかく当時はまだ反転授業という言葉が出始めた頃でしたから、決断するまでずいぶん迷いました。結果的にはその後も続けることができたので良かったと思っています。

 この授業では、学生たちは海外の大学について各自の関心に立脚して調べたことを授業の中で発表し、期末レポートを書きます。テーマによって、学生の発表が授業の一部になることもあり、そうでない場合も比較・歴史の観点を広げる材料になります。

 授業を通して、比較・歴史の観点から大学に関する知識が身に付きますが、授業の目標は、知識の習得ではなく、それを元に学生たちが大学に関する見方を広げ、転換させることにあります。比較という横軸と歴史という縦軸を使って、自分にとって当たり前となっている大学像から離れて、大学に対する思考を広げることを重視しています。


2019年度比較大学論シラバス

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