2021/11/22

大学入試センターのシンポジウムで発表をしました

11月14日(日)大学入試センターが主催するシンポジウム「COVID-19の災禍と世界の大学入試」がオンラインで開催されました。

私は、大経コース4期生の川村真理さん(文部科学省科学技術・学術政策研究所上席研究官)と共同で「コロナ禍で揺れるアメリカの大学入学者選抜」という研究発表を行いました。

アメリカではもともと、個別大学による独自試験は行われず、標準テストのスコアに加えて、高校の成績や履修記録、課外活動、推薦状、面接など、多様な指標を組み合わせて選抜を行う仕組みが取られてきました。しかし、コロナ禍で標準テストの受験が困難となったことから、テスト受験を必須としない”Test Optional”、あるいは”Test Blind”と呼ばれる選抜が広がっています。標準テストの利用についてはコロナ禍以前から懐疑的な見方が強くありました。それに対して、テストの意義を主張する論調もあり、議論となってきました。

テスト受験が任意となったこともあり、2021年度入学では選抜性の高い大学への志願者数が過去最多を記録しています。コロナ禍でキャンパスでの活動が難しくなったことから、2020年度入学者は入学を遅らせるギャップイヤーの選択をした学生が多く出たため、2021年度は入学許可者を抑える動きもありました。一方、地域の高等教育ニーズを受け止めてきたコミュニティ・カレッジではコロナ禍の影響で入学者数が大きく減少しており、大学類型間の格差拡大が懸念されるところです。

今後数年間は現在主流となっている”Test Optional”が続くものと思われますが、その後の見通しはまだ不透明です。アメリカの動向は、入学者を選抜する上で試験やその他の指標をどう活用するのかという点について、中等教育の成果をどう評価するのか、あるいは高等教育の目的をどう捉えるのかといった観点から示唆を投げ掛けているように感じています。

シンポジウムでは、イギリス、フィンランド、韓国、日本の動向が報告され、各国独自の対応がなされていることが分かりました。選抜および試験のあり方には、各国の中等教育と高等教育の接続の仕方や、各国の試験文化のあり方が反映されていることを改めて認識しました。

貴重な勉強の機会をいただいた大学入試センターの方々、お声掛け下さった東北大学の倉元直樹先生に御礼を申し上げます。

今回のシンポジウムの内容は、東北大学の入試研究シリーズの一環として近く刊行される予定です。

大学入試センター・シンポジウム2021




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