2021/07/09

文系大学院に関する講演をしました

6月18日に立命館大学大学院キャリアパス推進室のご依頼を受け、「人社系大学院 その先に見えるものは?ー大学院進学の意義や価値を考えるー」というオンラインセミナーで講演をしました。

講演は「文系大学院の意義と効用をさぐる」と題して行いました。講演では、大学院で学んだ者として、また大学院教育について研究する者として、そして大学院で教える教師としてという3つの立場から話をしました。これまで、大学院について考える際、無意識にこの3つの立場が重なり合う形で自身の思考に影響を及ぼしてきたように思います。

加えて、私自身も分担執筆した吉田文編『文系大学院をめぐるトリレンマー大学院・修了者・労働市場をめぐる国際比較』(玉川大学出版部、2020年)の知見に依拠しながら話をしました。

文系大学院を出て大学等の研究職以外の進路を目指す場合、進路データや企業の採用行動などをみると、やはり理系に比べて厳しい現状があるのは否めません。しかし、徐々にではあれ、大学院側にも採用する側にも、変化の兆しが見えているように思います。

その上で、文系大学院の意義と効用として、①専門を中心とした学習プロセスと人間関係の形成、②修士論文という探究プロジェクトの2つを挙げ、それらが就職後の仕事にもプラスに活きるのではないかという話をしました。また、大学院生による能力の発揮の仕方が多様であることに触れました。これは、私が教師として学生たちから常日頃教えられていることです。

今回のセミナーでは、採用側の企業の方や立命館の院生の方も登壇されましたので、講演の最後には、文系大学院に関心を持つ人たちが対話することで、大学院、学生、雇用者三者の関係を、トリレンマから好循環へ変えていきたいということを話しました。

私はこれまで大学院についていろんなところで話をする機会がありましたが、大学院を学術研究の対象に据えて、研究者を相手に話すことが多かったです。今回は文系大学院への進学を考える大学生が主なオーディエンスということで、どのように話そうか、直前まで試行錯誤しましたが、参加の皆さんの反応を見ると、結果的にある程度参考になる話ができたようでホッとしています。

私にとっても新たな視点を得ることができ、自分がこれまで行ってきた研究や、自身の大学院での教育に対して目を開かせてもらう機会となりました。

貴重な機会を与えて下さった立命館大学の皆様に感謝を申し上げます。




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